全脳自由帳

より考えるために書く

七回死んだ男(西澤保彦)

七回死んだ男 (講談社文庫)

七回死んだ男 (講談社文庫)

SFミステリー。Amazonの紹介文より。

どうしても殺人が防げない!?不思議な時間の「反復落し穴」で、甦る度に、また殺されてしまう、渕上零治郎(ふちがみれいじろう)老人――。「落し穴」を唯一人認識できる孫の久太郎少年は、祖父を救うためにあらゆる手を尽くす。孤軍奮闘の末、少年探偵が思いついた解決策とは!時空の不条理を核にした、本格長編パズラー。

西澤保彦の代表作と言われているだけあって、おもしろかった。主人公は同じ日を9回繰り返して体験する(どの日が繰り返されるかはランダム)という特異体質(?)の持ち主。そういうSF的設定をベースにして、普通ではありえないトリックが生まれるが、複雑すぎて理解できないというようなことはなく、わかりやすい。ラストはあっと言わされた。

文章はとても軽快で筒井康隆的ドタバタの趣もあり、気持ちよく読める。やはりこういう味わいは国内小説(原典)でしか体験できない。読後感は大変よかった。氏の他のSFミステリ作品も読みたくなる。