米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

あの頃の誰か(東野圭吾)

あの頃の誰か (光文社文庫 ひ 6-12)

あの頃の誰か (光文社文庫 ひ 6-12)

いきなり文庫で発刊されたので購入。

メッシー、アッシー、ミツグ君、長方形の箱のような携帯電話、クリスマスイブのホテル争奪戦。あの頃、誰もが騒がしくも華やかな好景気に踊っていました。時が経ち、歳を取った今こそ振り返ってみませんか。東野圭吾が多彩な技巧を駆使して描く、あなただったかもしれない誰かの物語。名作「秘密」の原型となった「さよなら『お父さん』」ほか全8篇収録。

いずれの短編も「わけあり物件」。何らかの事情でこれまで短編集に収録されていなかった作品ばかりを集めた短編集。この経緯からしても、東野圭吾をあまり読んだことのない人がこれを手にするのは勧められない。できがよいと思える作品は少なかった。あえてマイベストを挙げるとするなら「再生魔術の女」か。

「さよなら『お父さん』」は傑作「秘密」のまさに「原型」。「秘密」の肝心なところを抜いて骨組みだけにしたような作品になっている。間違ってもこっちを先に読んではいけない。「秘密」を読んでから「どれどれ、原型というのは…」と参考までに読む、というのがよいと思う。