米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

火神(アグニ)を盗め(山田正紀)

火神(アグニ)を盗め (ハルキ文庫)

火神(アグニ)を盗め (ハルキ文庫)

山田正紀作品の中では「女囮捜査官(5)」が未読で残っているのて、次はそれをと思っていたのだが、ツイッターで山田氏の以下のようなつぶやきが。

ありがとうございます。昔、書いた本のことを言われると、いつも恥ずかしいのですが、この2冊は自分でも愛着があって、そんなに恥ずかしくはありません。@mako_0722

山田正紀 @anaryusisu on Twitter

「この2冊」というのは「火神(アグニ)を盗め」と「崑崙遊撃隊」のこと。御本人にこう書かれると興味を引かれる。前者を入手して読んだ。

古代、インド=ヨーロッパ人が崇拝していた神にちなんで名づけられた、最新鋭の原子力発電所―火神〈アグニ〉。日本の商社からセールス・エンジニアとしてインドへ出張していた工藤篤は、偶然〈アグニ〉のある秘密を知ってしまう。ヒマラヤ山中の鉄壁の要塞に隠された〈アグニ〉の秘密をめぐる、CIA、中国情報員との壮絶なる死闘に巻き込まれて行く彼の運命は果たして…。緻密な構成と迫真のディテールで描く超冒険小説。

ダメ社員ばかりのチームで難関に挑む、という設定に期待させられた一方、「これならダメ社員ではないじゃないか」というふうにならなければいいが、とも思いながら読んでいた。若干その危惧が当たってしまった感はある。ダメ社員は普通こんなにがんばれない。「いつの間にかがんばってしまった」という展開にしてほしかったと思うのは贅沢か。

作戦を立てるまでがかなり長くて、決行してから割と早く終わってしまったのもちょっと残念。彼らの死闘をもっと読みたかった。

しかし、決行してからの展開自体は秀逸。作戦の内容もおもしろい。それを引っ張らずに早く終わったのも贅沢な構成だとは言える。終盤、よい意味で緊張感を緩和してくれるところがいくつか用意されていたのもよかった。