仔羊たちの聖夜(イヴ)(西澤保彦)

仔羊たちの聖夜(イヴ) (角川文庫)

タック&タカチシリーズ第4作。彼らの出会いから描かれている。

通称タックこと匡千暁、ボアン先輩こと辺見祐輔、タカチこと高瀬千帆―。キャンパス三人組が初めて顔を突き合わせた一年前のクリスマスイヴ。彼らはその日、女性の転落死を目の当たりにしてしまう。遺書、そして動機も見当たらずに自殺と結論づけられたこの事件の一年後、とあるきっかけから転落死した女性の身元をたどることになった彼らが知ったのは、五年前にも同じビルから不可解な転落死があったということ。二つの事件には関連はあるのか? そして今また、新たな事件が…。二転三転する酩酊推理、本格ミステリシリーズの逸品!

「安楽椅子探偵度」が前作「麦酒の家の冒険」ほど高くない分、「ついていけない度」も少し緩和された。それでもこのロジックについていくのは結構大変である。

それより何よりこの話、とにかく後味が悪い。彼らの友人関係(および恋人関係)というのはいったいどうなっているのか。「彼女が死んだ夜」でも思ったことだが、「おまえらいったい何なの?」と言いたくなる。

「解説」(光原百合)ではこの後味の悪さは意図的なものとして肯定的に解釈してある。しかし読む方としてはかなりしんどい。このシリーズは「依存」までは順に読んでいこうと思っていたのだが、だんだんめげてきた。次は「スコッチ・ゲーム」を読まないといけない。