パリ(Paris)のデジタルテレビ局でソフトウェアコンサルタントとして働くファブリス・ベラール(Fabrice Bellard)氏は円周率を2兆6999億9999万桁まで算出したと主張している。
パソコンで円周率計算桁数の世界記録を更新、フランス 国際ニュース : AFPBB News
これは2009年8月に筑波大学(University of Tsukuba)の高橋大介(Daisuke Takahashi)氏がスーパーコンピューターを使って計算した2兆5769億8037万桁を約1230億桁上回る記録だ。
高橋氏が計算に要した時間は29時間だったが、ベラール氏は2進数での計算に103日、検算に13日、10進数への変換に12日、変換の確認に3日の合計131日を費やした。使用したパソコンは2000ユーロ(約27万円)足らずで、CPUは2.93GHzの米インテル(Intel)製「Core i7」。1.5テラバイトのハードディスクを5台つないでいるほかは普通のパソコンだという。
円周率計算桁数の世界新記録。普通のパソコンで131日かけて達成したという。これだけ日数がかかったことを考慮に入れてもすごい。昨年の筑波大の記録の時は検算などを含めて73時間36分で計算されたということなので、単純計算すると今回のマシンは約41倍遅いことになるが、スーパーコンピュータ相手にそれですんだのなら快挙と言えるのではないだろうか。事業仕分けのスパコンさわぎを思い出した人も多そうである。
(※2010.1.13追記: よく見たら、下記FAQのページでマシンの速さについても書かれていた。筑波大のスパコンは94.2TFLOPS、今回のマシンは46.9GFLOPSで、約2000倍遅い。最初の計算のフェーズを比較すると96倍の時間ですんでいるので、単純計算で約20倍効率がよいことになる。もちろんCPUパワー以外の要因も大きく関与している)
そのベラール氏のFAQのページによると、この計算の速さはCPUパワーよりもI/O(ハードディスク)の速度に依存するらしい。計算に使われたソフトは(バイナリでは)リリース予定だがソースコードを公開するかどうかは決めていないという。
また"Pi Digits"のページによると、今回計算された2兆6999億9999万桁の中には8が13個連続するところがある。また、8以外の9つの数字のいずれについても12個連続するところが見つかっている。数字を決めたときにそれが12個連続する確率は1兆分の1なので、この結果はなんとなく妥当な気がする。
円周率の中の連続する数字といえばその昔、排中律をめぐってブラウエル(ブローエル、ブラウアーとも)が、人間には決められないために排中律を適用してはならない(真偽が決まっていると考えてはならない)問題の例として「円周率の中に9が10個連続して現れるところがあるかどうか」を挙げていたとされる。ところが現在では9が10個どころか12個並ぶところが見つかっている。ちなみに、「0123456789」や「9876543210」という列も何箇所か見つかっているらしい。
- Pi Computation Record (Fabrice Bellard)
- 円周率2兆5769億8037万桁計算の結果について (高橋大介)