先週届いたビートルズのデジタル・リマスター盤ボックス(ステレオバージョン)、少しずつ聴くことにしているのでまだ初期のアルバムしか聴いていないが、音のよさは格別。後期のものを聴くのもまた楽しみである。
このボックスセット、私が買ったステレオバージョン以外に「コレクター向け」にモノラルバージョンのボックスも発売されている。モノラルバージョンというのはステレオバージョンの音声を単にモノラルに変えただけのものかと思っていたのだが、どうやら違うようで、以下のような成り立ちである。
- 1960年代初頭にはステレオレコーディングが導入されたが、当時ほとんどの人はステレオのレコードプレーヤーを持っていなかった。したがってアルバムは通常まず大衆向けにモノラルでミキシングされ、ステレオのプレーヤーを持っている人向けには別にステレオミキシングを行っていた
- 1960年代の後の方になるとステレオが主でモノラルが副となり、最終的にはモノラルミキシングは行われなくなった
- その結果、ビートルズの10作目までのアルバム(「Please Please Me」〜ホワイトアルバム)はモノラルとステレオの2回ミキシングされている。モノラルミキシングの音がステレオと大きく異なることはよくあり、コレクターにとって両方持っておくことの価値が高くなっている
- 今回発売されたモノラルのボックスセットは、モノラルでミキシングされたバージョンのみを収録したもの。上記10作にモノラル版の「Past Masters」を加え、さらに「Help!」「Rubber Soul」にはオリジナルのステレオミキシングバージョン(CDでは未リリース)も収録されている
レコーディングとミキシングとマスタリングの違いを理解していないとわかりにくいのだが、ミックスダウンの結果として1チャンネル音声にするのがモノラルミキシング、2チャンネル(or それ以上)にするのがステレオミキシングだと思う。ビートルズの場合、10作目まではモノラルとステレオのミキシングを別々に行っていた。
で、モノラルの方をデジタルリマスターしたものを集めたのが今回のモノラルボックス。ステレオミキシングとは聴いた印象が大きく異なることがあるようである。テイクは同じ(収録されているのは同じ演奏)だが、ボーカルや楽器のバランス、エフェクトのかけ方などの違いで、モノかステレオか以上に異なってくるのだと思う。
私はとにかくモノラルよりステレオの方がいいだろうと思ってしまうのだが、モノラルの方のバージョンには秀逸なものが多いらしい。両方のボックスを買っている人もたくさんいそうである。さすがにそこまでするのはやめておこう。
- アーティスト: The Beatles
- 出版社/メーカー: EMI
- 発売日: 2009/09/09
- メディア: CD
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