米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

毒薬の輪舞(泡坂妻夫)

毒薬の輪舞 (講談社文庫)

毒薬の輪舞 (講談社文庫)

死者の輪舞」に続く、海方惣稔(うみかたふさなり)・小湊進介シリーズ第2弾。1990年の作品。

青銅色の鐘楼を屋根にいただく精神病院に続発する奇怪な毒殺事件。自称億万長者、拒食症の少女、休日神経症のサラリーマン…はたして殺人鬼は誰か? 患者なのか、それとも医師なのか? 病人を装って、姿なき犯人の行方を追う警視庁の名物刑事・海方の活躍。全編、毒薬の謎に彩られた蠱惑的ミステリー空間!

病院の中だけで全てが終わる話。海方刑事は相変わらずいい加減な男で、それゆえに病気を装って精神病院に入院しているのだが、事件の解明の段になると急にシャキッとする。

今回のしかけは少し強引なところがあるし、鮮やかさという点でも「死者の輪舞」に及ばない気はするものの、いつもながらの奇智にあふれた味つけがしてある。独特の文体と併せて、十分に泡坂ワールドに浸ることができる作品。

とにかく変な人がたくさん出てくる(しかも、そろいもそろって簡単に口を割る)し、各章のタイトルにもなっているように、毒薬がたくさん登場する。どちらもストーリーを構成する大事な要素になっている。