- 作者: 貫井徳郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/11/04
- メディア: 文庫
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地方都市に住む幼児が、ある事故に巻き込まれる。原因の真相を追う新聞記者の父親が突き止めたのは、誰にでも心当たりのある、小さな罪の連鎖だった。決して法では裁けない「殺人」に、残された家族は沈黙するしかないのか? 第63回日本推理作家協会賞受賞作。
うーん、かなりがっかり。
「誰にでも心当たりのあるような小さな罪をいろんな人が犯すことで子供が死んでしまう」話だということは聞いていて、するとだいたいこういう感じになるのかな、とストーリーを想像していた(もちろん具体的なからくりまではわからず)のだが、全くその通りになってしまった。いい意味での「裏切り」がない。
終盤で回収される伏線にも、「えー、今ごろそれを言い出すの?」という感じ。そうなってくると最後の章も余計に感じる。作品のテーマ自体は確かに答の出せない重い問題なのだが、読み終わって「で?」と言いたくなる。
いい意味での「裏切り」というのは、思いもしなかった展開があるとか、何かに気づかされるようなメッセージが読み取れたとかいうこと。それがなくて、読む前から予想できたことばかりだった、と感じてしまうというのは寂しい。この作品は、せめて全く予備知識なしで読みたかったな。