- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: 文庫
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「医療ミスを公表しなければ病院を破壊する」突然の脅迫状に揺れる帝都大学病院。「隠された医療ミスなどない」と断言する心臓血管外科の権威・西園教授。しかし、研修医・氷室夕紀は、その言葉を鵜呑みにできなかった。西園が執刀した手術で帰らぬ人となった彼女の父は、意図的に死に至らしめられたのではという疑念を抱いていたからだ…。あの日、手術室で何があったのか? 今日、何が起こるのか? 大病院を前代未聞の危機が襲う。
東野作品にしてはえらく素直だった。この場合「素直」というのはあまりいい意味ではない。
読み進むにつれ、「人それぞれが持っている使命」について深く掘り下げるような展開を期待するのだが、そういうところがあまりなく、至極ストレートな話だった。倫理観について新しい視点を与えられた(たとえば「手紙」のように)という感じでもない。最後もちょっときれいに終わりすぎて、東野作品独特の「せつなさ」の余韻を味わうことができなかった。
と言いつつ、いつものように物語の中に入り込まされる文章だし、東野氏得意の医療ものなので、引きつけられてどんどん読んでしまったのではあるが。