![三人の登場人物 (角川文庫 緑 306-7) 三人の登場人物 (角川文庫 緑 306-7)](http://d.hatena.ne.jp/images/hatena_aws.gif)
- 作者: 笹沢左保
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1982/05
- メディア: 文庫
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ハワイへの新婚旅行から帰った松平京一郎は、幸福の絶頂にあった。人気歌手だった新妻のマヤも結婚を機に引退し、家庭に入ることになっていた。マヤは芸能界にいたわりには地味な性格で、酒もタバコもうけつけないような女性だった。
二人の生活は順調なスタートをきった。だが、日を追うに従って京一郎の胸に、小さな疑惑が芽生えてきた。
帰宅すると、マヤの口に酒の香りがしたり、流しに吸いがらが捨ててあったりするのだ。しかもベッドマナーさえ、突然変わりはじめた…。
卓抜な構想で描く傑作ミステリー。
極端に登場人物を少なくした作品、と聞いていたので、完全に3人だけしか登場しない話、あるいはそうでなくても、3人以外は全くセリフのない話なのかと思っていた。実験的小説の多い笹沢左保ならやりそうである。しかしそうではなかった。他にも人は登場するし、しゃべりもする。
ただし、作品が提示する謎とその解明に大きくからんでくるのは3人だけである。その設定の範囲内ではひねりの利いた話だった。