全脳自由帳

より考えるために書く

あいにくの雨で(麻耶雄嵩)

あいにくの雨で (講談社文庫)

あいにくの雨で (講談社文庫)

長編第4作。「」の次。主人公は如月烏有ではなく如月烏兎(烏有の弟?)。

雪に囲まれた廃墟の塔で密室殺人が発生した。現場には塔へ向かう足跡が一筋だけ。殺されたのは発見者の一人、祐今の父だった。かつて同じ密室状態のこの塔で祐今の母が殺され、容疑者として逃亡中だった。事件が解決せぬままに呪われた塔では三度目の殺人が。新本格ミステリ第二世代の旗手が密室を変えた!

またもや破滅的な話だった。まあそれを期待して読んでいるわけだが。結末は意外であると同時に救いようがない。作者らしい雰囲気のよく出ている作品だと感じた。

サイドストーリーとして出てくる、生徒会の裏で暗躍する諜報活動というのがまたなんとも陰湿。生徒会活動でここまでのことをやる意義がよくわからないが、作品全体の雰囲気を醸し出す助けにはなっている。

話はいきなり13章から始まる。そして1,2,...,12,14という順に進む。真相の一部、しかもかなり重要な密室トリックに関する部分が先に明かされるという奇抜な構成。これは成功していると思う。