全脳自由帳

より考えるために書く

江戸川乱歩の推理教室(ミステリー文学資料館・編)

江戸川乱歩の推理教室 (光文社文庫)

江戸川乱歩の推理教室 (光文社文庫)

いろんな作家の犯人当て(とは限らないが)短編20作と、江戸川乱歩の書いた推理クイズのいくつか、その他を収録したアンソロジー。短編20作は、もともと乱歩の監修で1959〜60年に雑誌連載されたものらしい。

ミステリー小説の楽しさの一つに、「犯人当て」がある。張り巡らされた伏線を丁寧に読み解き、犯人を推理する醍醐味は格別だ。この本では、江戸川乱歩が関わった<犯人当て小説企画>からセレクトした短編を収録。小説としての読み応えはもちろん、読者も、ミステリーの名手が趣向を凝らして作り上げた<挑戦状>にぜひ、挑んで頂きたい。

犯人当てに限らず、私はあまり深く考えずにすぐ答を見てしまう方なのだが、ここに収められた短編には、拍子抜けするくらいすぐわかるものもあり、クラシカルなトリックのため考えなくても「知っていた」ものもあった。しかし大体のものはわからず。叙述トリックがしかけられているものもあった。クイズ本と同じような感覚で気楽に読める本である。