- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1993/09/29
- メディア: 文庫
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レベル7まで行ったら戻れない―。謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level7」の文字。少女の行方を探すカウンセラーと自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間。気鋭のミステリー作家が放つ力作長編。
いつものことながらこの人のストーリー構築力には感嘆せざるをえない。この作品は特にそうだった。よくこんな話を作り上げられるものである。上にある通り、ツイストに次ぐツイスト。そして、謎だらけの話に対する前半での読者への情報の与えていき方、後半での解き明かしのプロセスなど、実に巧妙。読後感もよし。
ちょっとだけ不満な点を挙げるとすれば2つ。1つ目はタイトルに関係があるが、詳細は秘す。2つ目は、各章に「第一日(八月十二日 日曜日)」というように日付のタイトルがついているにもかかわらず、他の日に起こったこともその中に描かれていること。どうせなら徹底してほしかったが、そうするとかえって話がわかりにくくなったのかもしれないな。今のままでも読んでいく上で支障はない。
私は宮部作品の中でもっと後(1992年)に発表された「火車」を一番先に読んだのだが、「レベル7」を先に読んでいたら「火車」の方もより楽しめたかもしれない。ストーリーに関連は全くないが、宮部小説に慣れていくプロセスをよりよく踏めたという意味で。
この「レベル7」では、デビュー長編「パーフェクト・ブルー」を先に読んでいた読者にはささやかなサービスがあった。そういう意味でも、発表順に読んでいくのが理想なのかもしれない。