- 作者: 乾くるみ
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/04/04
- メディア: 文庫
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- マリオネット症候群
人格転移もの。「転校生もの」とも言うのかな。しかし移ってきた人格と元いた人格とが同じ体にいる(両者の間にコミュニケーションはなく、元いた方はただ見守るのみ)ところがミソ。中盤の展開にはかなり驚いた。終盤は予想できたが。
この深刻な事態の中で、登場する人たちの能天気さがいい味を出している。 - クラリネット症候群
「ドとレとミとファとソとラとシの音が聞こえない」という奇想天外な症状。歯抜けになった会話を読むのは楽しかった。結構わかるものである。どうでもいいことだが、自然な会話の中で(わざと言っているところ以外で)「ファ」が消えるところを読みたかったな...と思って念のために読み直してみたら1ヶ所あった。
もう1つの趣向として暗号が出てくるのだが、こっちはちょっとがっかり。
今までに読んだこの人の作品には必ず「底意地の悪い人」が存在する。「みんないい人ばかりなのにどうして...」という話にはならない。しかし後味が悪くないのは、展開のうまさと文体のなせる業か。