- 作者: 連城三紀彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/06
- メディア: 文庫
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もう一人の自分を目撃してしまった主婦。自分を轢き殺したはずのトラックが消滅した画家。妻に、あんたは一週間前に死んだと告げられた葬儀屋。知らぬ間に妻が別人にすり替わっていた外科医。四つの狂気が織りなす幻想のタペストリーから、やがて浮かび上がる真犯人の狡知。本格ミステリの最高傑作!
上記の通り、前半の「第一部」で4つの大きな謎が提示される。「もう一人の自分を目撃してしまった」というのはちょっと大げさだが、他は正しい。これらの謎が「第二部」でどんどん収束していき、意外な真相が待っている。
構成力には感嘆したが、4つの謎がいささか散漫で、何と何がどこで起こっているのか、全体をちゃんと把握しながら読むのが難しかった。後半の謎解きにも若干無理があると思うところがあったし。
最後に明らかになる真相は、天地がひっくり返るようなものではないがゆえに逆にすごい。読んだ人にしかわからない表現だが。