- 作者: エラリイクイーン,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1987/08
- メディア: 文庫
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オランダ記念病院の大手術室では重要な手術が行われようとしていた。患者は病院の創設者で、階段から転げ落ち、応急手術を必要としていた。ところが、手術台上の老夫人はすでに帰らぬ人となっていたのだ。首には血のにじんだ線が…控室では生きていた患者がどうやって絞殺されたのか? 推理するエラリイを嘲笑うかのように、やがて第二の犠牲者が! すべての手がかりを提示して読者に挑戦する本格謎解き。新訳決定版
これぞ推理小説、という感じの作品だった。「出題編」に相当する部分は長いが、ムダは感じられない。この事件でのエラリイは犯人の周到な手口にかなり悩まされる。しかしそれを乗り越えたあとの「解答編」での解き明かしは明快かつ鮮烈。こうでなくてはいけない。これまでの3作の中で一番スッキリさせてくれた。「森博嗣のミステリィ工作室」の「ルーツ・ミステリィ100選」で国名シリーズの中からこれが選ばれているのも少しわかる気がする。
例によって途中で「読者への挑戦」が挿入される。いくつかの手がかりが示している犯人の特徴はある程度わかったものの、誰なのかはさっぱりわからなかった。犯人が指摘されるシーンの演出がこれまた見事。
タイトルは「オランダ靴の秘密(The Dutch Shoe Mystery)」だが、前作「フランス白粉の秘密」同様、別にオランダ製の靴が出てくるわけではなく、オランダ記念病院というところが殺人の舞台になり、重要な手がかりとして靴が登場する。靴のサイズ表記はもちろん日本式(cm)ではなくアメリカ式。この作品でフランシス・ジャニー博士が、自分の靴のサイズは6.5だと言っている。換算表によると24.5cm。アメリカ人の中ではかなり小さい方だろう。
関係ないが、私の靴のサイズは28cmである。日本ではあまり売っていなくて苦労していたが、最近は比較的買えるようになってきた。アメリカではさすがに昔からそのくらいのサイズは簡単に手に入る。その場合は「10.5」のものを買うことが多かったが、換算表によると28cmはアメリカ式で10となっている。微妙なところ。実際履いてみると10では小さかったことが多い。