全脳自由帳

より考えるために書く

Yの悲劇(エラリー・クイーン)再読

Yの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

Yの悲劇 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

あまりにも有名なこの作品。高校の時に新潮文庫版で読み、ロジックの精緻さと全編を流れる陰惨さが強烈に印象に残った。それから四半世紀経って、犯人が誰(どんな人物)だったかは覚えていたものの、他の筋は忘れてしまっていた。最近「Xの悲劇」を読んだ(こっちは初読)のに続いて、「Y」をハヤカワ文庫版で再読することにした。

やはり傑作である。どんどん引き込まれる。そうそう、エミリーはなぜかマンドリンで殺されるのだった... ああ、思い出した!

犯人を知った上で読んでも、真相が解明される過程を十分楽しむことができた。それに今回の方が犯行の背景やドルリー・レーンの苦悩をよく理解できた気がする。

アメリカでは「X」の方が人気が高いというし、ロジックの点では「X」の方が上なのかもしれないが、私は「Y」の方がずっと好きである。狂気に色どられたハッター家を軸とした全体の雰囲気と、単なる犯人当てにとどまらない真相がこたえられない。