- 作者: 藤原伊織
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/07/15
- メディア: 文庫
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アル中バーテンダーの島村は、過去を隠し20年以上もひっそりと暮らしてきたが、新宿中央公園の爆弾テロに遭遇してから生活が急転する。ヤクザの浅井、爆発で死んだ昔の恋人の娘・塔子らが次々と店を訪れた。知らぬ間に巻き込まれ犯人を捜すことになった男が見た事実とは……。史上初の乱歩賞&直木賞W受賞作。
人物描写も場景描写もうまい。そして息もつかせない展開。おかげで、ハードボイルド独特の「やたら気の利いたセリフまわし」もさほど気にならずに読めた。語り手である島村だけでなく、主要人物の誰にも感情移入することができる。ミステリー的要素も十分。さすがは乱歩賞・直木賞ダブル受賞。
最後の真相・結末はちょっと尻すぼみかな。なんかスケールが小さくなってしまった。そこまでのストーリーにふさわしい、印象に残る最後を期待したのだが。しかしそれを考慮しても十分オススメできる作品である。