全脳自由帳

より考えるために書く

火刑法廷(ジョン・ディクスン・カー)

火刑法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-1)

火刑法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-1)

海外ミステリーはどうも苦手で、クリスティとクイーンをちょっと読んだことがあるぐらいだった。最近ふと「僧正殺人事件」(ヴァン・ダイン)を読んで、やはり苦手だと思った。

しかしもう1人、ジョン・ディクスン・カー推理小説ファンの間で根強い人気があるようで、「カー・マニア」と言われる人が多いとか、「通といえばカー」というしゃれた格言があるとか聞く。そこでまず「三つの棺」に挑戦したが、「いかにも翻訳」の文章に辟易して挫折。リベンジに臨んだのがこれ。最後まで読めた。

思っていたよりよかった。密室のトリックはさすが大家と言われるだけあると思ったし、ホラーめいた雰囲気もよく、ラストに味わい深く結びついている。しかしやはり深く入り込めなかった感じは否めない。主として文化的背景の違いと、(割とよかったとはいえ)翻訳された文章を読んでいるというところからくるものだと思う。今後はやはりクリスティとクイーンぐらいにしておくかもしれない。