「同じ曲を違う人が歌う」といえば、昔何かのレコードのライナーノーツに「優れたシンガー・ソングライターは、他人に提供した曲を自分で歌うと、その他人が歌ったのより必ずよくなる」と書いてあったのが妙に印象に残っている。
この「法則」の例として思い出すのは以下の曲。
- 「元気を出して」 竹内まりや > 薬師丸ひろ子
薬師丸ひろ子でヒットした時は特にどうも思わなかったが、竹内まりやが伸びやかに歌うバージョンを聴いて「こんなにいい曲だったのか」と驚いた。 - 「化粧」 中島みゆき >> 桜田淳子
比べものにならない。「愛していると云ってくれ」収録。泣きながら歌っている。 - 「恋人がサンタクロース」 松任谷由実 > 松田聖子
Merry X'mas Show '87(超豪華メンバーによるクリスマス番組の2回目にして最終回)でのこの歌はカッコよかった(この番組、なんとかしてもう一度観られないものかと思っていたら、YouTubeに曲単位でアップロードされているではないか)。
近年の曲では、SMAPに提供された「セロリ」(山崎まさよし)や「夜空ノムコウ」(スガシカオ)あたりがすぐ浮かぶ。
しかしよく考えるとこの法則、単に実力派シンガー・ソングライターが非実力派の歌手に曲を提供することが多いから成り立つことが多いというだけのような気がする。そうではない例を言うと、私は「愛燦燦(あいさんさん)」という歌が好きだが、曲を提供された美空ひばりと提供した小椋佳のどちらの歌うバージョンがいいかと言われると、どうにも比べようがない。一般には「この曲はやっぱり美空ひばりで」という人が多いだろう。他にも「涙そうそう」は夏川りみとBEGINのどちらがいいかとか。結局言えるのは「曲を作っても自分で歌っても人を感動させるなんてスゴイ!」ということなのであった。