あの日、私は横浜出張だった。帰りの新幹線ではたまたま電光掲示板のニュースを見ていなかった。大阪駅からタクシーに乗ると、運転手さんが「アメリカがえらいことになってますよ」という。「ビルに飛行機が突っ込んだらしいですわ」。
最初、「この人は何か勘違いしてるに違いない」と思った。ビルに飛行機が突っ込むなんてことがあるわけがない。しかし何度確認しても本当に突っ込んだとのこと。ラジオのニュースが始まり、勘違いでないことはわかったが、映像を見ずに音声の説明だけを聞いても何が起こったのかどうにも理解できなかった。
家に帰ってテレビを観て呆然。しばらくは妻とテレビにかじりついていた。事件の悲惨さとともに強烈に心に焼きついたのは、あのテロリストたちは自分自身が死んでもかまわないのだということ。おそろしいことである。
あれからはや5年。改めて合掌。