ブログ記事の最後に「おもしろいと思ったらクリックお願いします」という、ランキングサイトへのリンクがついていることがよくある。私がいつも読んでいるいくつかのブログでも毎回挿入されているが、まずクリックしない。ランキングサイトというのはどんなものかを見るためにクリックしたことが2、3度あっただけである。
アフェリエイトは自分のブログでもやっているしGoogle Adsenseも最近始めたが、たとえ何かの間違いで自分のブログの人気が出てきたとしても、ランキングサイトに登録して「クリックを!」とやる気には全くなれない。
これについて今まで深く考えたことがなかったが、以下のエントリを読んでだいぶ整理がついた。
まず、ランキング利用者が増えるとうれしいのは誰か。ランキングサイト運営者である。アクセスが増え、広告クリックが増えるだろう。もっとも、ランキングが乱立すると「ランキングのランキング」とかも出てきてわけがわからなくなっていくのだが。
「ランキングサイト」が大嫌いな理由 [絵文録ことのは]2006/03/04
ランキングで上位にくるとうれしいのは誰か。サイトオーナーである。ランキングサイトからアクセスも流入してくる(もっとも、それはランキングサイトに登録している他の人たちがぐるぐる回っているだけなのだが)。
ランキングで負担を強いられるのは誰か。クリックさせられる読者である。
私がランキングサイト(へのクリック)に消極的なのは、「読み手の自由を阻害するから」である。それがブログの精神に反するように思うのである。
ブログというのは、「最低限のルールを守る限り、誰でも自由に自分の文章を発表できて自由にコミュニケーションできる場」を目指すものだと思う。ほとんどのブログは無料で書けるし、コミュニケーションのためのPermalinkやコメントやトラックバックといったしくみもある。最低限のルールというのは、法律を守るとか公序良俗に反することを書かないとか他人とのやりとりの際のマナーといったことである。
そして、読む方については実質的に何の制限もないはずである。アクセス攻撃でサーバの負荷を異常に高くするというような特殊なことをしない限り、どんなブログをどう読むかは全くの自由である。
ところが「おもしろかったらクリックを」とやるのは「読んでおもしろかったからクリックしないといけないんじゃないか」という余計なプレッシャーを与え、クリックの手間をかけさせる。それだけで「読むだけなら全く自由」を侵害している。
その割には、書き手が読み手のクリックによる利益(収入であれ、「励み」であれ)を実際にどの程度期待しているのかはよくわからない。いっそのこと「クリックしないなら読まないでください」というのなら(そういうブログは私は読まないと思うけど)それはそれで潔いが。
上記のエントリで、ランキングサイトへのクリックを大道芸人への投げ銭と比較されているのはわかりやすい。大道芸人は芸を見せることによって金銭を得ようとしているという暗黙の了解があると思うので、芸を見ておもしろかったと思ったらいくらか入れることに抵抗はないし、そういう心構えで見ようとするが、ブログはそうではないと思うのである。そもそも投げ銭と違い、クリックすることが必ずしも書き手の利益につながるとは限らない。
同じエントリの中に以下の記述がある。
ランキングなりコメントなり、毎日目に見える形で励まされないとやる気をなくす、というのでは、飽きっぽい現代人のステロタイプを演じすぎである。「たとえ反響がなくても、数ヶ月かけていいブログを組み上げるんだ」というくらいの気持ちでやってみたらどうだろうか。それは、きっとどこかで誰かが見ている。
強制できることではないし、「クリックお願いします」と書いている人がみんな「毎日目に見える形で励まされないとやる気をなくす」というわけでもないと思うが、「たとえ反響がなくても、数ヶ月かけて(あるいはもっとかけてでも)いいブログを組み上げるんだ」という気持ちは持っていたいものである。ブログというのは1つ1つのエントリで組み上がっていくものだから。もちろん、「反響なんてどうでもいいから自分の好きなことを書いていたい」というのもアリである。