全脳自由帳

より考えるために書く

選択的夫婦別姓制度について(3)

2年前に、現在の「夫婦同姓」は違憲かどうかを争う裁判があった。

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明治時代から続く、夫婦別姓を認めない民法の規定の違憲性が争われた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は「合憲」との初判断を示した。大法廷は「婚姻を直接制約したものではない。制度はわが国に定着し家族の呼称として意義がある」と指摘し、原告側が求めた選択的夫婦別姓導入には「国会で判断されるべきだ」とした。

私は選択的夫婦別姓制度には賛成だが、同姓でなければならない現在の制度が違憲かと問われたら、違憲とまでは言えないと思う。夫の姓に変えることを強制しているわけではないので、別に法律自体が男女差別をしているわけではない(不便を生じさせているかどうかは別として)。合憲という判決は妥当なのではないか。問題は、その先の運用を考えたときにどういう制度にすべきかであって、まさに「国会で判断されるべき」ことだと思うのである。

そういう意味で、別姓制度に変えたい人たちが違憲性の裁判を起こしたのは「作戦ミス」だったのではなかろうか。合憲判決によって(選択的)別姓がダメとされたわけではないのに、そうであるかのような印象を世間に与えてしまうからである。合憲であることは現制度を維持するための必要条件に過ぎないが、十分条件であるかのように思う人はいるだろう。

ただ、前のエントリで書いたような「民法上の氏」「戸籍法上の氏」の関係を知ると、現在の制度は、違憲とは言えないまでもいびつなことになっていると思えてくる。やはり選択的夫婦別姓制度を採るのが一番いいのではないか。