米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

ラットマン(道尾秀介)

ラットマン (光文社文庫)

ラットマン (光文社文庫)

2008年刊行(初出2007年)の作品。いわゆる「十二支シリーズ」の1つ。

結成14年のアマチュアロックバンドのギタリスト・姫川亮は、ある日、練習中のスタジオで不可解な事件に遭遇する。次々に浮かび上がるバンドメンバーの隠された素顔。事件の真相が判明したとき、亮が秘めてきた過去の衝撃的記憶が呼び覚まされる。本当の仲間とは、家族とは、愛とは―。

見事なトリックだった。この話が後半こんなふうになっていくとは全く予想もつかなかった。満足満足。

…というのはミステリーとしての話だが、道尾作品の場合、作者が「本格ミステリほど人間を描ける、感情を描けるジャンルはほかにない」と言っていたことをいつも思い出す。この作品での主人公のドラマはどうだったか? いい話ではあるのだが、やはりあくまでミステリーとして楽しめばいいのではないかという気もするのである。しかし序盤からの暗くてどうしようもない感じは、よい読後感につながった。