米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

ツィス(広瀬正)

ツィス (集英社文庫)

ツィス (集英社文庫)

「マイナス・ゼロ」に続く1971年の作品。

東京近郊の海辺の町で密かにささやかれはじめた奇妙な噂。謎のツィス音=二点嬰ハ音が絶え間なく、至るところで聴こえるというのだ。はじめは耳鳴りと思われたこの不快な音はやがて強さを増し、遂に首都圏に波及して、前代未聞の大公害事件に発展していく。耳障りな音が次第に破壊していく平穏な日常。その時、人びとが選んだ道は? そして「ツィス」の正体は? 息もつかせぬパニック小説の傑作。

神奈川県C市近辺でどこからかツィス音(英名でいうとC#の音)が聞こえるようになる。こんな音。

 T32@2O6C#1

(Aを440HzにするとC#は約554Hzなのだが、この作品でのツィス音はそれより少しだけ高い557Hzになっている)

そのツィス音はだんだん大きくなってくる。大変な騒ぎになり、人々はパニックに陥り…という感じはあまりない。このあたりは作者の味といえるところ。

そして、最後にどうなるのか? ツィス音の正体は何だったのか? というところに興味が向くのだが、結末はなんというか微妙なところだった。そうくるか…という印象とともに、思ったより社会派の作品だった、という感触の残る作品だった。