全脳自由帳

より考えるために書く

スペイン岬の秘密(エラリー・クイーン)

スペイン岬の秘密 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

スペイン岬の秘密 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

1935年、国名シリーズ第9作にして最終作。

さすがの名探偵エラリイ・クイーンも、その奇怪さには言葉が出なかった。悪名高いジゴロの死体は海に向かってテラスの椅子に腰掛けていた。黒い帽子を被り、舞台衣裳めいた黒のマントを肩から掛け、ステッキを手にし…あとはまったくの裸だった! 大西洋に突き出した岬に建つ大富豪邸で起きた殺人事件。解決に乗り出したエラリイを悩ませる謎はただひとつ―なぜ犯人は被害者の服を脱がせたのか? 待望の新訳決定版

このシリーズの中では地味な作品という印象だが、いつもながらのきっちりしたロジックの推理だった。今回はエラリイは無茶なことはしない。

ポイントの1つである「なぜ被害者は裸で死んでいたか?」についても、きちんとした推理が行われる。不自然なところはあるし、他の可能性はなかったのか? という疑念が残らないではないが。犯行の状況を思い浮かべるとちょっと笑える話ではあった。

読み終わってみると、シリーズの中ではかなりわかりやすい(推理しやすい)話ではあると思う。私はわからなかったけど。