米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

複数の時計(アガサ・クリスティ)

複数の時計 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

複数の時計 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

1963年、かなり後期の作品。だいぶ前に古本屋で見つけて購入していたのを今になって読んだ。

秘書・タイプ引受所から派遣されたタイピストのシェイラは、依頼人の家に向かった。無数に時計が置いてある奇妙な部屋で待っていると、まもなく柱時計が三時を告げた。その時、シェイラは恐ろしいものを発見した。ソファの横に男性の惨殺体が横たわっていたのだ…死体を囲むあまたの時計の謎に、ポアロが挑む。

ポアロの登場場面は少ない。年をとったせいか、あくまで安楽椅子探偵として事件を解決しようとする。代わって動くのはコリン・ラムという男。ヘイスティングスは出てこない。

複雑そうに見える、というかどこから手をつけていいかわからない事件に見えたが、「実際はすこぶる単純な事件に相違ない」というポアロの言葉通りだった。いつもながら推理は見事。

しかしそこに行き着くまでにいささか疲れた。クリスティ独特のドラマチックさがなく、聞き込み捜査ばかりが延々続く。それと、中心になると思っていた「時計」に関する真相がちょっと...。