米中毒別館

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数学ガール/ゲーデルの不完全性定理(結城浩)

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)

数学ガール/ゲーデルの不完全性定理 (数学ガールシリーズ 3)

数学ガール」の第3巻。タイトル通り、不完全性定理に踏み入る。各章のタイトルと、補足として章の内容の要約を書くと以下のようになる。

第1巻第2巻もよかったので期待していたが、期待を上回るおもしろさだった。

まずペアノの公理のところで、公理を扱うことを「知らないふりゲーム」と呼ぶテトラちゃんのたとえに感動。ヒルベルトがやろうとしていたことも壮大な「知らないふりゲーム」だったのかもな。ε-δの説明での「僕」によるたとえもわかりやすかった。

第7章、今まで対角線論法の話は(「よく知ってるから…」と言えるほどではないにしても)何度も読んだことがあるのだが、ここまで考えたことはなかったので目からウロコ。

「僕」と3人の数学ガールたちのストーリーとしても新たな展開がある。第9章は数学の話としては浮いていると思うが、「僕」たちのストーリーの中に置くと、この章の意味がなんとなく見えてくる。

そして第10章では不完全定理の証明に入っていく。関数・述語の定義の続く《冬》が長くて、理解しながら読もうとすると時間がかかった。何回か読むのを中断した末に、青息吐息ながら証明完までたどり着けたので達成感あり。あとで「ゲーデル 不完全性定理」(林晋・八杉満利子 訳・解説)でゲーデルの論文を確かめると、いたって素朴に定義が並べられていて、やはりこの論文だけ読んでもとてもわかりそうにない。

この第10章では「不完全性定理の意義」にまでちゃんと言及されていて、「理性の限界を示したもの」というような解釈には異を唱えている。「不完全性定理はもっとポジティブなものなのだ」というメッセージが伝わる。

以前書いたゲーデル本3冊に加えて、4冊目の愛読ゲーデル本になった。今後勉強してみたいこととして以下の2点をメモ。

  • ペアノの公理の5番目について、もっと突っ込んだ話
    数学的帰納法が出てくるやつ。テトラちゃんの興味は数学的帰納法自体に行ってしまったが、このPA5は「述語」という概念が出てくるので、PA1〜4に比べて複雑でわかりにくい(そういう意味では平行線の公理と似たところあり?)。
  • 不完全性定理の意義
    この本の第10章で書かれていたことより詳しいことを。

この2つを頭に置いて他の本も読んでみたい。数学ガールシリーズ次作のテーマが何なのかも楽しみである。