米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

死者の輪舞(泡坂妻夫)

死者の輪舞 (講談社文庫)

死者の輪舞 (講談社文庫)

海方惣稔(うみかたふさなり)・小湊進介が活躍するシリーズの第1弾、1985年の作品。この講談社文庫版は絶版だが、ミステリ名作館版はまだ発行されている模様。

競馬レースの最中、しかも大観衆のど真中で、一人の男が殺された! しかもこれが合図かのように、奇妙極まりない殺人事件が続発。特殊犯罪捜査課のベテラン&新米の名物刑事コンビが乗り出して、右往左往の末に解明した事件の驚くべき全貌。緻密なトリックと軽妙な語り口。新境地を拓く鬼才の傑作長編。

相変わらず奇智の利いた作品。被害者たちがどういうつもりなのか、それに作者が途中でどの程度読者に真相を明かしてくれているのか、どうもよくつかめないので、なんかわからないうちに話が進んでいく。そして最後には作者の職人芸にアッと言わされるという寸法。さすがにうまい。

海方刑事はアクが強い。シャープなのか鈍いのか、マジメなのかやる気がないのか、結局よくわからない。泡坂妻夫の描く「変な人」は独特の味があるが、この人はその中でもかなり変わっている。シリーズもう1作の「毒薬の輪舞」も近いうちに読もう。