米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

殺意の集う夜(西澤保彦)

殺意の集う夜 (講談社文庫)

殺意の集う夜 (講談社文庫)

1996年の作品。

嵐の山荘に見知らぬ怪しげな人たちと閉じこめられた万理と園子。深夜、男におそわれた万理は、不可抗力も働き彼ら全員を殺してしまう。その後、園子の部屋へ逃げこむと、園子も死体となっていた。園子を殺したのは誰なのか。驚愕のラストまで怒濤の展開。奇才が仕掛けたジェットコースター・ミステリー!!

ツッコミどころ満載の作品だった。「文庫版あとがき」で作者自身が「若気の至り」「作風に『品』がない」と書いているのもうなずける。しかしここまでやってくれると爽快である。「品」のなさの一部を構成している「底意地の悪さ」はこの作品に限らないことだし。

犯人自身が推理する、という形式は東野圭吾の「鳥人計画」に触発されて採用したものらしい。そんな気はなかったのにはずみで6人を次々と殺してしまう主人公、という設定がまず異常なのだが、終盤で明らかになる真相も負けず劣らず変である。並行して走る2つの話はかなり力ずくでつながる。途中からは変な話だと割り切ってモードを変えて読めたので、最後のどんでん返しに至るまで結構楽しめた。

「文庫版あとがき」では「私にとって理想のミステリとは、『1ページ目の1行目から最後のページに至るまでの記述が、すべて伏線となっていたことが、最後の1行で明らかになる』というものです」とも書いている。それに近づくことを(かなり無理やりにだが)目指した作品だということはわかる。