米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

天使の屍(貫井徳郎)

天使の屍 (集英社文庫)

天使の屍 (集英社文庫)

貫井徳郎は、とりあえず古いのから読んでいくことにする。

平穏な家族を突然の悲劇が襲った。中学二年生の息子が飛び降り自殺をしたのだ。そして遺体からはある薬物が検出された―。なぜ彼は十四歳で死ななければならなかったのか。原因はいじめか? それとも? 遺された父親はその死の真相を求めて、息子の級友たちを訪ねてまわる。だが世代の壁に阻まれ、思うにまかせない。そして第二の悲劇が…。少年たちの心の闇を描く、傑作長編ミステリ。

相変わらず重い話だが、貫井作品の中では比較的暗い気持ちにならずに読める方なのではないかと思う。真相は想像もつかず。明かされた瞬間「この話にそういうテクニックを使うか!」と思ってしまった。暗い気持ちにならなかったのはそのせいもあるかもしれない。むしろ中盤までの重い展開と真相とのギャップが印象的で、悪くない読後感の作品だった。

私はこの真相を「ありそうなこと」だとは思えなかったのだが、作者自身のコメントは以下。

中心トリックは非常にシンプルですが、それなりに説得力があるのではと思っています。発表当時はあまりリアリティがなかったかもしれませんけど、今読めばぜんぜん不自然じゃないのでは。

天使の屍 - He Wailed 〈Tokuro Nukui Official site〉-

「発表当時」というのは1996年なので、13年経っているわけだが、今なら不自然ではないのだろうか。だとすると私は「少年たちの心の闇」がわかっていないということになる。