米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

三人の登場人物(笹沢左保)

1975年の作品。

ハワイへの新婚旅行から帰った松平京一郎は、幸福の絶頂にあった。人気歌手だった新妻のマヤも結婚を機に引退し、家庭に入ることになっていた。マヤは芸能界にいたわりには地味な性格で、酒もタバコもうけつけないような女性だった。
二人の生活は順調なスタートをきった。だが、日を追うに従って京一郎の胸に、小さな疑惑が芽生えてきた。
帰宅すると、マヤの口に酒の香りがしたり、流しに吸いがらが捨ててあったりするのだ。しかもベッドマナーさえ、突然変わりはじめた…。
卓抜な構想で描く傑作ミステリー。

極端に登場人物を少なくした作品、と聞いていたので、完全に3人だけしか登場しない話、あるいはそうでなくても、3人以外は全くセリフのない話なのかと思っていた。実験的小説の多い笹沢左保ならやりそうである。しかしそうではなかった。他にも人は登場するし、しゃべりもする。

ただし、作品が提示する謎とその解明に大きくからんでくるのは3人だけである。その設定の範囲内ではひねりの利いた話だった。