米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

依存(西澤保彦)

依存 (幻冬舎文庫)

依存 (幻冬舎文庫)

タック&タカチシリーズ第6作。シリーズの総まとめ(中締め?)とも言うべき長編。分量も格段に多くなっている。

安槻大に通う千暁ら仲間七人は白井教授宅に招かれ、そこで初めて教授が最近、長年連れ添った妻と離婚し、再婚したことを知る。新妻はまだ三十代で若々しく妖しい魅力をたたえていた。彼女を見て千暁は青ざめた。「あの人は、ぼくの実の母なんだ。ぼくには彼女に殺された双子の兄がいた」衝撃の告白で幕を開ける、容赦なき愛と欲望の犯罪劇。

いつもの通りの安楽椅子探偵的な謎がいくつも語られる。「裏口に挟まれた小石の問題」は秀逸だった。それらの謎が直接間接にタックの生い立ちの謎に関連していく。この最後の謎には相当な底意地の悪さと執念深さが潜んでいる。これまでの作品で見られた底意地悪さの上をいっているかもしれない。

レギュラーキャラクターの様子もいつもと違っている。タックとタカチは「それを言ってしまうのか?」と思うようなセリフをツルツルと吐くし、今回の語り手であるウサコはやけにマジメである。ボアン先輩だけが一応いつものペースをキープしているが、彼も少しマジメ。相変わらずのいい奴ではある。

最終的には謎の解明というよりも、関係にケリをつける、清算するといった意味合いが強い。読んでいるこちらはちょっとそれに乗りきれなかった感あり。「スコッチ・ゲーム」の流れからしてうなずける展開ではあるものの、答の出る満足感が得られたという感じではない。やはりシリーズをいったん締めるという役割の大きい作品。