米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

亜愛一郎の転倒(泡坂妻夫)

亜愛一郎の転倒 (創元推理文庫)

亜愛一郎の転倒 (創元推理文庫)

亜愛一郎の狼狽」に続く、亜愛一郎シリーズ短編集三部作の第2弾。

色白で端正な顔立ち、身につけるものから足の爪先までピシッと決めた優男。ところが、なにか行動を起こすや忽ちズッコケる。容姿は二枚目、立居振舞は三枚目という奇妙なカメラマン亜愛一郎。だが、ひとたび不可解な事態に遭遇するや、それまで鈍そうに見えた亜の頭脳が高速回転を始め、白眼をむき出すときには、真相に辿り着いている。泡坂妻夫の名人芸が冴えわたる傑作短編集。

引き続き、亜愛一郎の顔と同じく端正な作品群が収録されている。殺人あり、「日常の謎」的なものあり。人が殺される話でも独特の軽妙さがキープされている。

マイベストは「意外な遺骸」。正統派でありながら奇智の入った一編だった。他に「砂蛾家の消失」も不可能性があってよし。「争う四巨頭」は星新一の「四で割って」というショートショートを思い出させた。