米中毒別館

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眼中の悪魔 <本格篇>(山田風太郎)

眼中の悪魔 本格篇―山田風太郎ミステリー傑作選〈1〉 (光文社文庫)

眼中の悪魔 本格篇―山田風太郎ミステリー傑作選〈1〉 (光文社文庫)

山田風太郎の作品を集めた「ミステリー傑作選」の1。本格推理小説の短編9作・長編1作を収録。うち長編の「誰にもできる殺人」はすでに読んでいたので、それ以外を読んだ。

作者は元医学生だけあって、医学に関連のある話が多い。そして、「結末は読めたな」と思ったら違うところでひねってあったり、起伏の少ない話だと思ったら意外な結末を迎えたりして、どの作品もどこかしら楽しむポイントのある話だった。マイベストは「厨子家の悪霊」。短い中に二転三転の展開があって読みごたえあり。技巧的な「笛を吹く犯罪」もよかった。ホームズものの「黄色い下宿人」やフランスものの「司祭館の殺人」も、唐突な印象はあるが異色な感じでよい。

中島らもの「逢う」での対談で、山田風太郎は以下のように言っている。

僕は推理小説十年書きましたが、推理小説のファンでも何でもない。シャーロック・ホームズも読んだことないんですよ。それが、昭和二十二年に『宝石』へ応募して、学生のアルバイトとしてはいいお金がもらえるから書きだして、なぜ十年も書いてたかっていうと、江戸川乱歩さんですよ。実に偉大な人物で、探偵小説を愛する人なら誰でも愛して、全然悪口いわないの。それに引きずられて、まわりをうろついてただけですよ。

作品を読むと、「ファンでもなくホームズを読んだこともない」とはとても思えない。まあ謙遜して言っているのだろうが。

この「山田風太郎ミステリー傑作選」は、「本格篇」「名探偵篇」「サスペンス篇」「悽愴篇」「戦争篇」「ユーモア篇」「セックス&ナンセンス篇」「怪奇篇」「少年篇」「捕遺篇」と10冊が出ている。まずは「サスペンス篇」までは読もうと思う。