米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

フリークス(綾辻行人)

フリークス (光文社文庫)

フリークス (光文社文庫)

綾辻作品のうち本格推理小説は全部読んだつもりでいたのだが、これが残っていた。中編3編。

「J・Mを殺したのは誰か?」。私が読んだ患者の原稿は、その一文で結ばれていた。解決篇の欠落した推理小説のように…。
J・Mは、自分より醜い怪物を造るため、五人の子供に人体改造を施した異常な科学者。奴を惨殺したのは、どの子供なのか?―小説家の私と探偵の彼が解明する衝撃の真相!(表題作)
夢現、狂気と正常を往還する物語。読者はきっと眩暈する!

これら3編の発表には数年の間隔(1989〜96年)が空いているが、精神病棟の患者を描いた連作になっている。

  • 夢魔の手 ― 三一三号室の患者 ―
    不気味な語り口と異様な日記とで、早くも独特の雰囲気が漂う。ホラー的要素もあり。ラストでは、驚きと「やはりそんな感じで終わるのか」という気持ちとを同時に味わった。
  • 四〇九号室の患者
    「患者」の日記。結末まで読んで、こっちは驚きの方が大半。やられた。綾辻作品を読んだなあという気に久しぶりになった。
  • フリークス ― 五六四号室の患者 ―
    あとがきにも書かれている通り、かなり欲張っていろいろな要素を入れた作品。「患者」を描きながら密室ものの本格推理にもなっていておもしろい。それ以上には欲張る必要はなかったような感じもする。江戸川乱歩作品へのオマージュになっているのは私にもわかった。