米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

とむらい機関車(大阪圭吉)

とむらい機関車 (創元推理文庫)

とむらい機関車 (創元推理文庫)

ここらでかなり古い推理小説も読んでみたくなり、以前から名前を聞くことの多いこの人の短編集を手にとる。1932〜7年の作品を集めている。それにいくつかのエッセイを併録。

名作の誉れ高い表題作を劈頭に、シャーロック・ホームズばりの叡智で謎を解く名探偵青山喬介の全活躍譚など九編に併せて「連続短回顧」ほかのエッセイを収める。初出時の挿絵附。

いずれの短編もクラシカルな雰囲気が漂う。横溝正史などとはまた違ったタイプの、ちょっと乾いた昭和初期の香りがする。場景描写の端々に、また探偵・青山喬介の「〜して呉れ給え」という口調にそれは表れている。挿絵入りなのも雰囲気づくりを助ける。

シンプルな話が多い。教科書に載っていそうなトリックをアレンジしたものもあった。表題作「とむらい機関車」は事件の様相も犯人の動機もユニークな作品。マイベストは最後の「坑鬼」か。これはスケールも大きい。