米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

殺しへの招待(天藤真)

殺しへの招待 (創元推理文庫―天藤真推理小説全集)

殺しへの招待 (創元推理文庫―天藤真推理小説全集)

1973年の作品。

わたしは夫であるあなたを殺します。女であれば誰しもが夫に抱く憎悪が、殺人にまでふくれあがったからです……。五人の男に届いた妻からの殺人予告状。本命の標的はその内の一人なのだが、それが自分でないと言い切れない夫たちは戦々恐々、疑心暗鬼に陥りながらも対策に頭をひねる。追いつめられた男たちの前で事件は意外な展開を見せるのだが……。サスペンスに満ちた秀作。

天藤作品独特の、冷徹だが温かい文章に乗って話が進む。序盤の設定から予想した展開とはだいぶ違った話になっていった。中盤までは非常に緊張感があり、事件は不可能性たっぷり。

終盤はそれに呼応するだけの見事な解決とまではいかなかった印象。しかし納得できるものではあったし、人物がみな活き活きと描かれていて読後感よし。ラストの章はない方がかえっていいのではと思ったが...。ここは意見の分かれるところか。