米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

OUT(桐野夏生)

OUT 上 (講談社文庫 き 32-3)

OUT 上 (講談社文庫 き 32-3)

OUT 下 (講談社文庫 き 32-4)

OUT 下 (講談社文庫 き 32-4)

1997年、作者(女性である)の代表作と言われる作品。

深夜の弁当工場で働く主婦たちは。それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから抜け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へ導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか? 犯罪小説の到達点!

4人の主婦たちは、一度出たら二度と戻れないところにそれぞれのやり方でOUTする。今でいうワーキングプアがテーマになっているとも言えるが、それほど単純ではない。

この作品には明示的な「謎」は特に存在しないので、ストーリーとしては「どうなっていくのか」が興味の対象となる。ただし主人公の動機(殺人の動機ではない)が明確に描かれていない。上記の紹介文でいうと、「なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?」は明らかにされはしない。そのせいで前半は今ひとつ話に乗り切れなかった。

ただ、そのためにかえって終盤の「対決」の場面が強烈に心に残る。前半の猟奇的な「仕事」よりもインパクトは強かった。解説でも述べられている通り、「動機の不明確さ」は意識的にやっているはず。

読後感がよかったとは決して言えないが、あとを引く話だった。多分人によってかなり違った感想を持つと思う。

それにしても、表紙のこの物体、一体何なのか。読んだ後だと「氷の棺桶」に見えるが。