米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

謎亭論処―匠千暁の事件簿(西澤保彦)

謎亭論処―匠千暁の事件簿 (祥伝社文庫 に 5-3)

謎亭論処―匠千暁の事件簿 (祥伝社文庫 に 5-3)

タック&タカチシリーズとしては長編「依存」の方が先に刊行されているのだが、こっちの短編集をパラパラめくっていたら、勢いで読んでしまった。シリーズ第7作ということになる。

女子高の正門前に車を停め、夜の職員室に戻った辺見祐輔は憧れの美人教師の不審な挙動を垣間見た。その直後、机上の答案用紙が、さらに車までがなくなった。ところが二つとも翌朝までに戻されていた。誰が、何のために? 辺見の親友であり、酒に酔うほど冴え渡る酩酊探偵・匠千暁に相談すると…。続発する奇妙な事件を、屈指の酒量で解く本格推理の快感!

このシリーズらしい短編集だった。「らしい」というのは、「底意地の悪い人間がよく登場する」という意味。主要キャラクター(タック、タカチ、ボアン先輩、ウサコ)以外の登場人物は、相当陰湿なことを内に秘めている可能性があると考えなければならない。それによってもたらされる後味の悪さにも慣れてきたので、それなりに楽しく読めた。

「盗まれる答案用紙の問題」のように登場人物の行動にも動機にもちょっと無理があるのではないかと思うようなものあり、「閉じ込められる容疑者の問題」のようによくできた密室ものもあり。他に、慣れてきたとはいいながらあまりの後味の悪さにゲンナリさせられ、このシリーズの真骨頂だと思ったもの(どれのことかは秘す)もあり。最後は「麦酒の家の冒険」の別バージョンである「新・麦酒の家の問題」で締め。これもなんとも後味の悪い話ではあった。