米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

私という名の変奏曲(連城三紀彦)

私という名の変奏曲 (ハルキ文庫)

私という名の変奏曲 (ハルキ文庫)

連城三紀彦のミステリー小説には、評判が高い割に絶版となっているものが多い。これも他で手に入らないのでAmazonのマーケットプレースで入手。

その冷やかな微笑としなやかな身のこなしで世界的ファッションモデルとして活躍中の美織レイ子が自宅マンションで死体となって発見された。彼女を殺す動機を持つ七人の男女―そしてそれぞれが「美織レイ子を殺したのは自分だ」と信じていたのだ! 果たして真犯人は誰なのか? 華やかな外見の裏にさまざまな欲望が渦巻くファッション界を舞台に展開される殺意の万華鏡!

西澤保彦の傑作「七回死んだ男」に対して、こちらはさしずめ「七回死んだ女」。しかもSFではなく、現実世界(?)を舞台にしている。

関係者7人が7人とも「自分がレイ子を殺した」と思っていたのはなぜか? そんなことがどうやって成立するのか、全く想像がつかなかった。まさに連城アクロバットミステリーの面目躍如といったところ。真相が明らかにされると、いかによく練られたストーリーだったかがわかる。トリックに若干難点があると言えないでもないが、さほど問題だとは思えない。

登場人物の心理描写は抑え気味という印象。それがクールな雰囲気を醸し出し、この不思議な事件と、レイ子だけにとどまらなかった悲劇をかえって際立たせている。