米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

まどろみ消去(森博嗣)

まどろみ消去 (講談社文庫)

まどろみ消去 (講談社文庫)

森博嗣の第1短編集。

大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。参加者は、屋上で踊る三十人のインディアンを目撃する。現場に行ってみると、そこには誰もいなかった。屋上への出入り口に立てられた見張りは、何も見なかったと証言するが…。(「誰もいなくなった」)ほか美しく洗練され、時に冷徹な11の短編集。

だいぶ前に読み始めたのだが、どうも、よく言えば幻想的、ありていに言えば意味のわからない話が多いので途中で放置していた。最近になって最後まで読んだ。

後半はわかりやすい話も結構あったが、やっぱりわかりにくいものも。「何をするためにきたのか」などは私には理解不能。対して「真夜中の悲鳴」「やさしい恋人へ僕から」「悩める刑事」あたりはねらいがわかりやすかった。

S&Mシリーズに関係のあるのは2編。特に「誰もいなくなった(Thirty Little Indians)」はシリーズ愛読者にはよい番外編になっている。この英題は「そして誰もいなくなった」の元の原題"Ten Little Indians"のもじりなのは明らかで、この英題をつけるために書かれた作品のような気がする。森博嗣はタイトルから先に決める人らしいので。

この短編集、森博嗣HP作品紹介に「たぶん、これが一番、森らしい作品です」と書かれているし、氏が崇拝する萩尾望都に解説を書いてもらっているぐらいなので、作者としては本当に書きたいことをかなり書けているということなのかもしれない。