米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

返事はいらない(宮部みゆき)

返事はいらない (新潮文庫)

返事はいらない (新潮文庫)

1991年刊の短編集。

失恋からコンピュータ犯罪の片棒を担ぐにいたる微妙な女性心理の動きを描く表題作。『火車』の原型ともいえる「裏切らないで」。切なくあたたかい「ドルシネアにようこそ」など6編を収録。日々の生活と幻想が交錯する東京。街と人の姿を鮮やかに描き、爽やかでハートウォーミングな読後感を残す。宮部みゆきワールドを確立し、その魅力の全てが凝縮された山本賞受賞前夜の作品集。

デビュー短編集「我らが隣人の犯罪」と同じく、長編に比べれば軽妙で、短編ならではの雰囲気がある。ストーリー構築は「我らが...」よりグレードアップしている印象。

中でも気に入ったものを挙げるとするなら、「言わずにおいて」「裏切らないで」あたりか。上の紹介文にもあるように「裏切らないで」はカード破産がからんでくるので「火車」の原型とか言われることがあるようだが、「火車」自体、最初からカード破産を題材にしようと構想した話ではなかったと宮部みゆきが語っていたそうなので、それほど関係はないような気がする。