全脳自由帳

より考えるために書く

火曜クラブ(アガサ・クリスティ)

火曜クラブ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

火曜クラブ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ミス・マープルシリーズの短編集。

甥のレイモンドを筆頭に、前警視総監や画家などさまざまな職業の人々がミス・マープルの家に集っていた。一人の提案で各自が真相を知っている昔の事件を語り、その解決を推理しあうという“火曜クラブ”ができたが…静かな目立たない田舎の老婦人ミス・マープルが初めて驚異の推理力を披露した短篇13篇を収録。

13篇のうち「火曜クラブ」での推理合戦は最初の6篇。第7〜12篇では顔ぶれを変えて同じようなことが行われる。最後の第13篇「溺死」だけは、サー・ヘンリー・クリザリングの行動を中心に現在進行形の事件が描かれる。いずれにおいてもミス・マープルの鋭い洞察力が光る。といっても、全ての問題を彼女が一人で解いてしまうのではどうもなあと思っていると...。

短編かつ安楽椅子探偵もの(第13篇を除く)ということもあって、どれもシンプルだった。淡々と事件のあらましが語られ、それに対して謎解きが行われる。ミス・マープルシリーズは初めて読んだのだが、短編を読んでも結局どういう人なのかよくわからないな。長編を何か読まなくては。

マイベストは「溺死」。どうも安楽椅子探偵ものより実際に場面が動く作品の方が入り込みやすい。意外性もあったし。他の中では「バンガロー事件」か。これはおもしろい趣向だった。

NHKBS-hiチャンネルでアニメ「アガサ・クリスティー名探偵ポワロとマープル」が始まった。アニメだし未読の作品のネタバレがあるといけないので私は観ていないのだが、なぜか次女(小2)が熱心に観ている。この「火曜クラブ」からもいくつかの作品が出てくるようである。