- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1993/01/28
- メディア: 文庫
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それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。
これはよかった。本当にこんな「魔術」が可能なのかどうかはわからないし、可能かもしれないと思うとうすら寒くなるが、とにかく登場人物のそれぞれにスッと感情移入でき、どんどん読み進んでしまう。相変わらず(といっても2冊読んだだけだが)ストーリーづくりがうまい。話に隙がない。登場人物は多いがムダが感じられない。
結末には納得させられた。終わりそうなところで終わらずにまだ先があったのが(この作品に関しては)よい。最後まで読んで、友人がタイトルを「魔術師の...」と間違って覚えていた理由もわかったのだった。