米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

魍魎の匣(京極夏彦)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

京極弁当箱シリーズの中でこの作品が最高傑作だという話をよく聞く。読む直前にも友人から「『魍魎の匣』が一番です。でも読んだあとで暗くなりますけど」と言われたのだった。

匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物は落とせるのか!?日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。

この紹介文を読んでもどんなストーリーか想像しにくいのだが、読んでみるとすさまじい話だった。「はこ(箱、匣、筥)」を徹底的に追求した傑作である。随所に謎がちりばめられ、文中に出てくる「みつしり」という言葉がピッタリ。この密度は尋常ではない。

京極堂のウンチクも心地よくて、1000ページを超える長さも気にならない。そしてたくさんの謎がこうもきれいに解決されるとは思わなかった。さらに戦慄の結末。期待を大きく上回る。

姑獲鳥の夏」と共通するテーマもあり、昭和二十年代の設定でありながら実にSF的。「姑獲鳥の夏」では「ブラックジャック」(手塚治虫)を思い出したが、今回は星新一のあるショートショートが頭に浮かんだ。

読後感よし。幸いにして、読んだあとでも暗くはならなかった。しかし落ち込んでいる時には読まない方がいいかもしれない。これを読むにはある程度の勢いが必要である。