全脳自由帳

より考えるために書く

ドルリイ・レーン最後の事件(エラリー・クイーン)

ドルリイ・レーン最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ドルリイ・レーン最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

正月休み中に何とか読み終えた。

国名シリーズを薦めてくれた友人が、「悲劇シリーズは、特に『ドルリイ・レーン最後の事件』の結末が気に入らない」と言っていた。「最後の事件」の「結末」とはいったいどういうものだろうと思いながら読む。

サム元警視のもとを訪ねてきたのは、色眼鏡をかけ髭をまだらに染めた異様な風体の男だった。一通の封筒を預け男は消えたが、同じ頃博物館でシェイクスピア稀覯本すり替え事件が起きる。サムの要請に応じ、名探偵ドルリイ・レーンが真相究明に乗りだすが…シェイクスピア劇の元名優ドルリイ・レーンが、世界文学史を根底から覆す大事件の謎に挑む。X、Y、Zに続く四部作の掉尾を飾る巨匠の代表的傑作。改訳決定版。

後半、もしかしたらそういう結末なのかもと思ったらその通りになった。確かにこれは好き嫌いが分かれると思う。私はといえば、あまり好きな方ではないな。ちょっと乱暴に過ぎる。当時(の上流社会?)の倫理観というのはこういうものなのだろうか。あと、ハヤカワ版の解説にはいくつか書かれてあるのだが、クイーンにしてはロジックに甘いところが割と見られるのが不満である。

推理小説の歴史においてこの作品(の結末)はどういう位置づけにあるのか調べたくなる。それと、「Zの悲劇」はこの作品の伏線の役目も担っていたのであるな。さらにいえば「Yの悲劇」さえも。

シリーズ未読の人には、「とにかく『X』と『Y』は必読。その上で、シリーズとしての意図に興味があったら『Z』と『最後の事件』も読んでみたら」と薦めることになりそう。2冊読むか4冊とも読むかである。