全脳自由帳

より考えるために書く

彼女が死んだ夜(西澤保彦)

彼女が死んだ夜 (幻冬舎文庫)

彼女が死んだ夜 (幻冬舎文庫)

タック&タカチシリーズ第2作(「解体諸因」を第1作と数えるとして)にして、匠千暁最初の事件。

門限六時。家が厳しい女子大生ハコちゃんはやっとアメリカ行きの許しを得た。出発前日、親の外出をいいことに同級生が開いた壮行会から深夜帰ると部屋に女の死体が!夜遊びがバレこれで渡米もふいだと焦った彼女は自分に気があるガンタに遺棄を強要する。翌日発見された遺体は身元不明。別の同級生も失踪して大事件に。匠千暁、最初の事件。

探偵役が語り手というのは結構珍しいのではなかろうか。普通は探偵の推理の過程を読者から隠して引っ張るものだからである。

例によって安楽椅子探偵的に進む。こういう机上の推理中心の話はもしかしたら理系向きなのかもしれない。それでも比較的動きがあった方か。最初の死体遺棄をはじめ、展開に無理を感じるところが少なからずあったが、意外性も十分ある話だった。平凡なタイトルだと思っていたら深い意味があったのだった。

タック&タカチシリーズはこれでまだ序の口のはず。次作以降もっとおもしろくなることを期待しているのである。