米中毒別館

思いついたことをこまごまと。本の感想なども。

能面殺人事件(高木彬光)

能面殺人事件 新装版 高木彬光コレクション (光文社文庫)

能面殺人事件 新装版 高木彬光コレクション (光文社文庫)

高木彬光は「人形はなぜ殺される」をまず読もうと思っていたのだが、たまたま古本屋で見つけたのでこれを。

資産家の当主が、寝室に置かれた安楽椅子で死んでいた。現場は完全な密室状態で、死体には外傷がなかった。傍らには呪いを宿すという鬼女の能面が残され、室内にはジャスミンの香りが妖しく漂っていた。デビュー第一作にして、新趣向に挑み、絶賛された第三回探偵作家クラブ賞受賞作。同時期の短編「第三の解答」「大鴉」を収録。

正しくはデビュー第1作ではなく、「刺青殺人事件」に続く第2作。

これは傑作。「こんな展開になったらいいのにな」という展開になってくれた。かつ、意外な展開にならなかったというわけでは決してない。謎やトリックのいくつかは予想がついたが、密室トリックなどは秀逸だと思う。

再読したばかりの「Yの悲劇」と共通するところのある話だった。狂気じみた旧家が舞台になっていて、ワッセルマン反応(梅毒の検査)などというのも共通して出てくる。日本の家を舞台にしてくれた方が私にはなじみやすいのは当然で、それと能面という小道具がよく合っている。

ケチをつけるとするなら、文章が若干ぎこちないと思ったのと、展開にやや不自然なところがあること。それと、海外ミステリーのいくつかの作品(「アクロイド殺人事件」「僧正殺人事件」「カナリヤ殺人事件」など)についてあっさりネタバレをしてしまっているのはやはりよくない。読む際には注意が必要。

併録の短編「第三の解答」「大鴉」はある意味で「能面殺人事件」と同系統(詳細は秘す)の作品だった。