全脳自由帳

より考えるために書く

笑わない数学者(森博嗣)

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

S&Mシリーズ第3作。トリックは単純だった(私は見破れなかったけど)が、小説としてはとてもよかった。トリックの単純さゆえに評価が分かれるようだが、私はこれまでの3作のうちで一番気に入ったと言ってもいい。何がおもしろいかは、自分で決めること、定義することなのである。

作者による作品紹介には、「トリックに気づいた人が、一番引っかかった人である、という逆トリック」とある。これを真面目にとらえて考えるか、作者の言い訳ととるか。それも読み手の自由だろう。

作中でいくつかパズルが出題される。その中の5つ玉のパズル。

「さて、では、もう一つ問題を出そう。五つのビリヤードの玉を、真珠のネックレスのように、リングにつなげてみるとしよう。玉には、それぞれナンバが書かれている。さて、この五つの玉のうち、幾つ取っても良いが、隣どうし連続したものしか取れないとしよう。一つでも、二つでも、五つ全部でも良い。しかし、離れているものは取れない。この条件で取った玉のナンバを足し合わせて、1から21までのすべての数ができるようにしたい。さあ、どのナンバの玉を、どのように並べて、ネックレスを作れば良いかな?」

紙に書かずに考えて、なんとか解けた。一般化すると、n個の玉をリング状にしてそこから取った1〜n個の連続した玉の番号の和で1からn(n-1)+1までの全ての数ができるような、n個の配置を求める問題。作中のパズルはnが5の場合。nが1〜4の場合は簡単。6以上の場合はどうなるのだろう。